「俺が君を本物にする」
病気の父親と、その介護を苦に自殺した母親にもとから離れ、 親戚の福祉の援助を頼りに都会のはずれでひとり暮らしをする女ーー鷹凪ひだり。 彼女は役者兼脚本家志望だが、ひとりよがりな舞台を望むゆえに誰からも見いだされず、 脳内でもうひとりの自分と対話する日々を送っていた。
世間を震撼させているのは連続猟奇殺人事件だった。 主に独居の老人や女性を狙ったもので、残忍なやりくちから同一犯と思われ、 ニュースサイトやSNSは連日その話題でにぎわっていた。
そんな中、ひだりは深夜のコンビニ帰りに公園の片隅で座り込む青年を見つける。 浮世離れした美しい容姿なわりに気さくな彼は、すぐにひだりに懐き、ひだりも心を許し、二人は男女の仲になっていく。
ーー美しい彼は、ひだりには一言も告げなかったが、 世を騒がせる殺人鬼だった。


